前回の記事で、管理人がGoogleフォトを卒業してImmichへ移行しようと決めた理由をお話しました。
(まだ読んでいない方はこちら→バイバイGoogle Photo ようこそ Immich!!)
さて。「Immichってどこで動かすの?」という話ですよね。
クラウドではなく自分のサーバーで動かすのがImmichの売りなわけですから、サーバーになるハードウェアが必要です。
普通のパソコンでもできます。でも、24時間起動させ続けるには電気代と騒音がきつい。
そこで管理人がおすすめするのが、中古ミニPCです。
ラズパイという選択肢もあるにはあるのですが、ぶっちゃけ中古ミニPCのほうが圧倒的にラクです。理由はこのあと説明します。
なぜ中古ミニPCが「一番ラク」なのか
ラズパイとの比較で話します。
ラズパイは確かに安くて省電力ですが、自宅サーバーとして使おうとすると意外と準備が多い。SDカード・アクティブクーラー・専用電源アダプター・microHDMIケーブル・・・本体以外にもあれこれ揃える必要があります。
そしてなにより、ラズパイはARMアーキテクチャです。
世の中のDockerイメージは大半がx86向けに作られています。Immichは動くとはいえ、将来ソフトを追加したくなったとき「このイメージ、ARMに対応していない・・・」となるリスクがゼロではありません。
ごもっともです。説明しましょう!!
① ラズパイ(Raspberry Pi)ってなに?
名刺より少し大きい基板の上に、CPU・RAM・Wi-Fiが全部乗っかっている超小型パソコンのことです。
OSを入れれば普通のLinuxパソコンとして動きます。消費電力が低く、DIY好きのエンジニアに人気があります。管理人も学生時代に少し遊んでいました。
② ARM と x86 ってなに?
CPUの「種類(方言)」のことです。
わかりやすく言うと、ARMはスマホ語、x86はPC語です。
スマホ・タブレット・ラズパイはARM。Windowsパソコン・Macはx86。どちらも「コンピュータ」ですが、中で話している言語が違います。
Nintendo SwitchのソフトをPlayStationで動かせないのと同じ理由、というわけです。
③ Docker ってなに?
ソフトを「お弁当箱ごと持ち運べる」技術です。
普通のインストール=アプリだけ持ってくるイメージ。Dockerは「アプリ+動作に必要な環境+設定」を全部まとめたお弁当箱ごと持ってくるイメージです。
どのパソコンに持ち込んでも同じように動くのが強みで、Immich もこのDocker形式で配布されています。
閑話休題。
中古ミニPCはx86です。Dockerのイメージが全部、フルで動きます。
| 項目 | ラズパイ 5(8GB) | 中古ミニPC(N100) |
|---|---|---|
| 本体価格 | ¥15,000前後 | ¥15,000〜25,000 |
| 追加購入 | 電源・SDカード・クーラー等で+¥5,000前後 | なし(全部込み) |
| アーキテクチャ | ARM 64bit | x86 64bit |
| アイドル消費電力 | 5W前後 | 6〜10W前後 |
| Docker 対応 | ARM対応イメージのみ | すべて対応 |
| セットアップの手間 | やや多い | 少ない |
トータルコストは大差ないのに、x86の恩恵と手軽さが段違いです。
管理人が「中古ミニPCが一番ラク」と言い切る理由は、まさにここです。
ちなみに一応ラズパイでも、x86エミュレータで動作させるなんて言う荒業も可能ではありますが、16GBモデルなんていう、ラズパイ界のiPhone 17 Pro MAXみたいなスゲェヤツを使ってあげないと、RAMがカツカツになるらしいです。
あと、まぁまぁ高いです(本体基板だけで6万円くらい、2026.4現在管理人調べ)
選ぶべきスペックはこれだけ
中古ミニPCは玉石混交です。何でもいいわけではありません。
Immich をサーバーとして動かすために最低限確認するポイントはこの4つです。
① CPU:Intel N100 か第7世代 Core i5 以降
Immich は写真・動画のサムネイル生成やAI顔認識でCPUを使います。非力すぎるチップだとサムネイル生成に時間がかかって快適に使えません。
今イチオシはIntel N100チップ搭載機です。2023年登場の省電力チップですが性能は十分。アイドル時の消費電力は6〜8W前後で、ラズパイと大差ありません。
少し古い第7〜10世代の Core i5 搭載 Tiny シリーズも狙い目です。性能的には十分すぎるくらいあります。
…
ちょっと待った!!!
それが大きな落とし穴です。
それだけでは、「Core i5」の第何世代かがわかりません。
Core i5 のモデル番号、例えば Core i5-7300K という場合、「i5-」の直後の数字の最初の1〜2桁が世代を表しています。
| モデル番号例 | 世代 | Immichに使える? |
|---|---|---|
| Core i5-4590 | 第4世代 | ✗ 非推奨 |
| Core i5-6500 | 第6世代 | △ ギリギリ |
| Core i5-7300K | 第7世代 | ○ OK(最低ライン) |
| Core i5-8250U | 第8世代 | ◎ 余裕あり |
| Core i5-10400 | 第10世代 | ◎ 快適 |
「Core i5」という名前だけ見て買うのは絶対にやめてください。第6世代以前は性能が低い上にサポートも切れています。必ずモデル番号の数字を確認してから購入してください。
ちなみに、10世代以降くらいであれば「Core i3」シリーズでも十分高性能です。
中古PCとは一期一会です。
出会ったPCの性能と、価格とを十分吟味して、納得のいくものを購入することも、醍醐味だったりします。
② RAM:8GB 以上
Immich本体 + Docker + OSで最低4GBは食います。8GB以上を選んでください。16GBならなお安心です。
③ ストレージ:SSD 128GB 以上(OS用)+ HDD(写真データ用)
ストレージは役割別に2種類考える必要があります。
OS用(内蔵SSD):OSとDockerのデータが乗るのでSSDが必須。HDDだと動作が遅すぎます。128GBあれば十分です。
写真データ用(HDD):Immichが管理する写真・動画の保存先です。容量重視なのでHDDでOKです。
ここで一つ、写真データ用HDDの接続方式に注意が必要です。
| 接続方式 | 速度・安定性 | ミニPCでの扱い |
|---|---|---|
| SATA(内蔵) | ◎ 安定・高速 | 理想的。ただし多くのミニPCはスロット1本のみ |
| USB(外付け) | ○ 実用的 | 手軽だが長期運用でケーブル抜けのリスクあり |
SATAが理想ですが、多くのミニPCは内蔵スロットが1本しかなく、OSのSSDで埋まってしまいます。複数台のHDDでRAIDを組みたい場合、普通のミニPCではかなり難しいというわけです。
そこで選択肢の一つが、NAS機能を持つミニPCです。MinisforumなどからSATAスロットを複数持つミニPCが出ており、RAID構成も組める本格派です。
ただし人気商品なので売り切れていることも多く、価格も¥4〜8万とやや高め・・・。
コンセプトはとても魅力的だと感じてるんですが、そんなミニPC買うくらいならNAS買えるじゃん。
と思って、管理人は採用しませんでした。
そしてここだけの話。管理人みたいにハードオフで中古品を一式揃えて自作するというのも、コスパ的には最強だったりします。
完全自己責任ですし、管理人からは正式におすすめできません。ただ、PCに自信があってとにかくドケチな方には「それもアリ」です。管理人もそのパターンです。笑
いずれ「ハードオフ自作サーバー」についても記事にしたいと思っています。乞うご期待・・・!!
④ ネットワーク:有線 LAN ポートあり
サーバーは有線LANで繋ぐのが鉄則です。Wi-Fiだと速度・安定性ともに不安が残ります。ギガビットイーサネット(1000BASE-T)対応であればベストです。
どこで買う?
管理人のおすすめはHARD-OFF(ハードオフ)です。ハードオフ楽しすぎません?一回入ったら最低でも30分は抜け出せません(笑)
たまにめっちゃ安い掘り出し物があったりもして、とてもいい場所です。
あとはじゃんぱらなんかもお勧めです。
ヤフオクやメルカリも安く買えますが、個人出品なので動作確認の記載をしっかり確認してから入札・購入することをおすすめします。
Ubuntu Server をインストール
中古ミニPCが手元に届いたら、OSをインストールします。
Immich を動かすOSとして管理人がおすすめするのはUbuntu Server 24.04 LTSです。LTSは Long Term Support の略で、5年間セキュリティアップデートが提供されます。安心して使えます。
Step.1 インストールメディアを作る
まず Ubuntu Server の ISO ファイルを公式サイトからダウンロードします。
次に、ダウンロードした ISO ファイルを USB メモリ(8GB以上)に書き込みます。
…
ダメです!!
ISOファイルは「CD・DVDのデータをまるごと1つのファイルにしたもの」です。そのままUSBにコピーしても、パソコンは「起動できるUSB」として認識してくれません。
ISOの中身を正しい形式でUSBに展開してくれる「書き込み専用ツール」が必要です。
Windows ならRufus(ルーファス)、Mac ならBalena Etcher(バレーナエッチャー)が定番です。どちらも無料です。
使い方は至ってシンプル。ISOファイルを選んで、USBメモリを選んで、「スタート」を押すだけです。
Step.2 USB から起動する(BIOS の話)
USB メモリをミニPCに差して電源を入れます。
ここで一つ、管理人がやらかした話をします。
電源を入れてもWindowsが普通に起動してしまいまして。「え。なに?」となりました。
これを理解するには、まずBIOS(バイオス)の話をしなければなりません。
BIOSとは、パソコンの電源を入れた瞬間にOSより先に起き上がるプログラムのことです。ハードウェアの初期化と「どのストレージからOSを読み込むか」の管理をしています。
今回の状況はこうです。
- 内蔵SSD → Windows が入っている
- USB → Ubuntu のインストーラーが入っている
BIOSはデフォルトで「内蔵SSDを優先して起動」するように設定されています。だからUSBを差しても無視してWindowsが起動してしまう、というわけです。
ちなみに、UbuntuをインストールしたあとはどうなるかというとSSD内に「WindowsとUbuntuの2つのOS」が共存している状態になります。次回起動時にどちらを起動するか選択できるようになります。
それを制御しているのも、広い意味でBIOSの仕事です。
さて、話を戻すと。USBから起動させるにはBoot Order(起動順序)を変更する必要があります。
電源投入直後に F2 キー(機種によって DEL や F10)を連打するとBIOS画面に入れます。
BIOS画面に入ったら、「Boot」タブ(または「Boot Menu」)を探してください。だいたいどの機種も同じような構成になっています。
| BIOSのタブ(一般的な例) | 内容 |
|---|---|
| Main / Info | CPU・メモリ等のシステム情報 |
| Boot ← ここ | 起動順序(Boot Order / Boot Priority)の設定 |
| Advanced | 各種ハードウェア詳細設定 |
| Security | パスワード・Secure Boot 設定 |
| Save & Exit | 設定を保存して終了(通常 F10) |
Boot タブの中に「Boot Priority」や「Boot Order」「1st Boot Device」などの項目があります。ここでUSBメモリを1番上に移動してください。
設定を保存して(多くの場合 F10)再起動すると、USB から Ubuntu のインストーラーが立ち上がります。
機種によって起動キーや画面構成が違うので「機種名 BIOS 起動」でググってみてください。
Step.3 Ubuntu Server のインストール
USBから起動するとインストーラーが立ち上がります。英語のテキスト画面ですが、指示に従って進めるだけです。
設定する主な項目はこれだけです。
- 言語・キーボード(Japanese でOK)
- ネットワーク(有線LANなら自動検出される)
- インストール先ディスク(内蔵SSDを選択)
- ユーザー名とパスワード
- OpenSSH server をインストールにチェックを入れる(超重要!!)
インストールが完了したら再起動。USBを抜いて、内蔵SSDからUbuntuが起動すれば成功です。
初回起動 〜 SSH 接続
再起動後、ミニPCの画面にログインプロンプトが表示されます。
ここからは手元のPCからSSH接続して作業します。
SSH(Secure Shell)とは、ネットワーク越しに別のパソコンを安全に操作できる技術です。
比喩で言うと、隣の部屋にあるパソコンを、自分の部屋のキーボードとモニターで操作するようなものです。しかも通信が暗号化されているので安全です。
サーバー管理はほぼこれが標準で、ミニPCにモニターやキーボードを繋ぎっぱなしにする必要がなくなります。一度SSHを使えるようになると、もう手放せません。
接続するまでの流れを先に整理します。
- ミニPCにモニターとキーボードをつないでIPアドレスを確認する
- モニターとキーボードを外す(以降は不要)
- 手元のWindows PCからSSHで接続する
ではSTEPごとに説明していきます。
STEP 1:ミニPCのIPアドレスを確認する
まず一時的に、ミニPCにモニターとキーボードをつないでください。
Ubuntu Serverはインストールすると、デスクトップ画面(Windowsのような画面)は出てきません。起動すると黒い画面にテキストだけが並ぶコンソール画面になります。ここでユーザー名とパスワードを入力してログインします。
ユーザー名とパスワードは、Ubuntu Serverのインストール時に自分で設定したものです。
ログインできたら、以下のコマンドを入力してEnterを押してください。
ip a
すると大量のテキストが流れます。その中に以下のような行があります。
inet 192.168.1.10/24
inet の後ろ、/24 の前にある数字(例:192.168.1.10)がIPアドレスです。メモしておいてください。
確認できたら、ミニPCのモニターとキーボードは外してOKです。以降は使いません。
STEP 2:手元のWindows PCでPowerShellを開く
次は手元のWindowsパソコンで作業します。
Windowsキー を押して「PowerShell」と検索し、起動してください。黒いウィンドウが開けばOKです。
STEP 3:SSHでミニPCに接続する
PowerShellに以下のコマンドを入力します。
ssh ユーザー名@IPアドレス
ユーザー名 はUbuntuインストール時に設定したもの、IPアドレス はSTEP 1でメモした数字に置き換えてください。
例:
ssh dreht@192.168.1.10
初回接続時は以下のような確認メッセージが出ます。
Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])?
yes と入力してEnterを押してください。
その後パスワードを入力すると(画面には何も表示されませんが入力はできています)、以下のようなプロンプトが出れば接続成功です。
dreht@minipc:~$
ここからPowerShellに打つコマンドは、すべてミニPCに届いて実行されます。 見た目は自分のPCの画面ですが、動いているのはミニPCです。リモコン操作と同じ感覚です。
STEP 4:OSを最新の状態にアップデートする
接続できたら、まずOSを最新の状態にしておきます。PowerShellに以下を入力してください。
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
これもミニPCで実行されます。「手元PCをアップデートしているわけではない」という点だけ意識しておいてください。
補足:IPアドレスが変わってしまう問題
実はこのままだと、ルーターの再起動などのタイミングでミニPCのIPアドレスが変わることがあります。変わってしまうと、毎回STEP 1に戻ってIPアドレスを調べ直す必要があって面倒です。
これを防ぐには、ルーターの管理画面でIPアドレスを固定するのが確実です。
手順は以下のとおりです。
① ルーターの管理画面を開く
手元のPCのブラウザで 192.168.0.1 または 192.168.1.1 を入力してください(ルーターのメーカーによって異なります)。ログイン画面が出たら、ID・パスワードはルーター本体の裏面シールで確認してください。
② IPアドレス固定の設定メニューを探す
「DHCPサーバー設定」「IPアドレス固定割り当て」「静的DHCP」など、メーカーによって名前が違いますが、大体このあたりにあります。
③ ミニPCのMACアドレスを確認する
STEP 1で打った ip a の出力の中に、以下のような行があります。
link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx
この xx:xx:xx:xx:xx:xx の部分がMACアドレスです。ルーターの設定画面でこのMACアドレスを指定して、固定IPを割り当てます。
④ ルーターを再起動する
設定後にルーターを再起動すれば完了です。以降、そのミニPCには常に同じIPアドレスが割り当てられます。
ちなみに「まずは動かしてみて、IPアドレスが変わったらそのときにまた
ip aで確認する」でも全然問題ありません。管理人も昔は固定していましたが、ルーター買い替えてからは、再設定も面倒だし、一度触ったらほったらかし運用がメインなので、今はもう固定していません。
補足:「接続を拒否された」場合
Ubuntu Serverのインストール時に「OpenSSH server」を選択しなかった場合、SSHが使えない状態になっています。ミニPC本体(STEP 1の画面)で以下を実行してください。
sudo apt install openssh-serversudo ufw allow ssh
これでSSHが有効になります。
以上でSSH接続の設定は完了です。以降はミニPCにモニターもキーボードも不要。手元のPCだけでサーバーを操作できます!!
どうですか?小難しいことのようで、なんだかんだ結構簡単そうじゃないですか?
出来そうな気がしてきませんか??
してきましたよね??
さあ、やりましょう!!
管理人、初めてミニPCにSSHで繋がった時、じわじわとした感動がありました。
ネットワーク越しに自分のサーバーへ入れた感覚。これがセルフホストの醍醐味なんですよね。
熱くなりすぎて想像以上に長々とした記事になってしまいましたが、ここまでお付き合いいただいた皆様は、これで自宅サーバーの土台が完成したはずです。お疲れさまでした!!
まとめ
- 中古ミニPCはx86なのでDockerイメージが全部動く。ラズパイより圧倒的にラク
- CPUは「Core i5」の名前だけで選ぶな!モデル番号の最初の数字が7以上(第7世代以降)かを確認
- 写真データ用HDDはSATA接続が理想。RAIDを組むならNAS対応ミニPCも視野に
- OSは Ubuntu Server 24.04 LTS。ISOはRufus / Etcher でUSBに書き込む
- BIOS の Boot Order を変更してUSBから起動。「Boot」タブで設定
- SSHはネットワーク越しにサーバーを操作する技術。インストール中のOpenSSHチェックを忘れずに
次回はいよいよ、この中古ミニPCの上にDockerをインストールしてImmichを立ち上げます。
乞うご期待!!

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